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【第5話】

『金鑵城、ついに落城する』

 
金鑵城は、青野原台地から突出した台地上に築かれた山城です。

 東・南・北の三方は、登ることができない急な崖で、西側には深い掘りが掘られていました。 段丘下は、人や馬が通れない沼があり、難攻不落の城と言われていました。 城内には深い井戸があり、この井戸の水を金(かね)のつるべで汲み上げて生活していました。 このため、金鑵城(かなつるべじょう)という名前がついたと言われています。

 城主は、赤松氏の有力な家臣の中村氏でした。 戦国時代には、三木城城主の別所氏とその勢力を争っていました。 一時期は三木城を落とし、その勢力を拡げていましたが、いつしか形成は逆転し、ついに別所氏に城を取り囲まれることになってしまいました。
 金鑵城の兵士たちは、「別所よ、いくらでも城を囲むがよい。この城は難攻不落じゃ。」「こちらの兵糧は十分にあるのじゃ。攻め疲れるのを待って、また追い落としてやるぞ。」と意気込んでいました。
 こうした睨み合いが続くある日のこと、城主中村氏のところへ悪い知らせが入りました。 「殿、一大事です。井戸の水が枯れております。」 慌てた城主は、重臣を伴い井戸のところへ飛んで行きました。 いつものように、金(かね)のつるべで水を汲み上げようと試みますが、水はまったくありません。 井戸の中を調べてみると、いつの間にか横穴があけられていました。 別所氏が鉱山を掘る職人を呼び寄せ、横から穴を掘らせて水を抜いてしまったのです。 「一大事じゃ、水がなければ城にこもることができないぞ。」 兵士たちも心配になってきました。

 日にちが経つにつれ、兵士の士気がどんどん落ちて行きました。 これを察知した別所氏は、総攻撃の準備にかかりました。 中村氏は、金鑵城の最後を覚り、姫に「お前だけは夜の闇にまぎれて落ちるのじゃ」と命じ、姫をひとりで城から逃がしました。 最後を覚った城主中村氏と家臣たちは、城に火を放ち自害して果てたとのことです。
 
  実際に、天文2年(1533)金鑵城落城という記録が残されています。
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